頭部外傷について(1)(2015年2月17日)
今日は、頭部外傷についてお話します。この時期、スキーや、スノーボードなどで、頭を打ったという人が、多く来られます。また、今日のように、霙や、雪などの悪天候で、滑って転び、頭を打つ方もいらっしゃいます。
頭を打つことで、注意しなければならない点は、直後は軽症のように見えても、後で頭の中で出血してきて、放置すると命の危険があるということです。
急性期に頭蓋内出血してくるタイミングは、受傷後6時間から8時間といわれています。
急性期頭蓋内出血した場合の症状としては、
1)頭痛:これは、打ったところだけでなく、頭全体がどんどん痛くなってくる
2)嘔気、嘔吐:頭痛とともに、嘔吐が出現してきた場合は、頭の中の圧(頭蓋内圧)が上がったサイン
3)けいれん
4)運動麻痺:手や足の動きが悪くなる、手の力が入らない、手を持ち上げられない、足が動かない
5)意識障害:ぼんやりしたり、眠ったようになり、呼びかけてもおきない
6)眼球運動障害:ものの見え方が悪くなったり、物が二重に見えたりする
特に、5番目の意識障害がでてきた場合、一刻を争う緊急事態の場合も想定されます。
小児や、高齢者の場合は、症状が後れて出ることもあるので、2-3日は、よく気をつけてみてあげてください。
怪我をした日はお風呂に入るのはやめて、2-3日は運動はしないでください。
こぶについて
よく、たんこぶができたから頭の中には出血しないという人がいらっしゃいますが、そういうことはありません。たんこぶは、頭蓋骨の外側、頭皮の下の出血です。多くの場合、自然に吸収されますのでそのままにしておいて大丈夫です。額や、眼の上側にできたたんこぶは、血のかたまりが吸収される過程で液状化するので、重力にしたがって眼の周りに降りてくることがあります。受傷直後はたんこぶだけだったのが、3-4日たって朝起きたら眼の周りが殴られたように真っ青になっていた、ということがおこります。これは吸収の過程の出来事なので、心配しなくても良いことが多いです。(受傷直後から眼の周りに出血がある場合は、Black eyeといって頭蓋底骨折のサインの場合があるので、話が違います。)
また、頭を打った後一週間から10日以上たっても、こぶがぶくぶくしてなかなか吸収されない場合、骨膜下の血腫の場合があるので、脳神経外科を受診して下さい。