教えて律子先生(2)

頭痛について(1)

方針イメージ

今日は、頭痛についてお話します。
一口に頭痛といっても、いろいろな種類があります。
大きく分けて、「脳や、体の病気が原因で起こる頭痛:器質性頭痛」と、「慢性頭痛」があります。 早く、適切な治療が必要な器質性頭痛を伴う病気には、くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などがあります。
原因となる、はっきりした基礎疾患がない頭痛を、慢性頭痛といいます。慢性頭痛には、ほぼ毎日頭が重く、締め付けられるような痛みが続き、肩こりや 頚部痛を伴う、緊張型頭痛と、一年のうち、1-2ヶ月だけ毎日数時間激痛が走り、涙や鼻水を伴う、特に男性に多い、群発頭痛、そして、前兆を伴い頭の半分 または、全体がずきずきと拍動性に痛む、片頭痛があります。
今日は、まず、慢性頭痛の中で一番多い、緊張型頭痛についてお話します。

緊張性頭痛の痛みの特徴は、以下の点が挙げられます。

1) 後頭部から、首筋にかけて重苦しく、締め付けられるようは感じがする。
2) 両側の前頭部や側頭部に起こるときは、鉢巻で頭を締め付けられているような、とか、お釜をかぶっているような重い感じの頭痛がおこる。
3) 痛みがひどいときは、吐き気を伴うこともある。
4) 痛みは、朝起きたときは比較的楽であるが、夕方から夜にかけて起こる傾向がある。
5) お風呂に入ったり、お酒を飲んだり、リラックスすると痛みが和らぐ。

緊張性頭痛の原因は、頭頚部を包んでいる、筋膜や、腱膜、筋肉の異常な収縮です。この、痛みをもたらす頭頚部の筋肉の異常収縮は、多くの場合、精神的緊張や、ストレスが引き金になって起こります。
対処方法としては、まず、緊張性頭痛であるという診断を確定し、原因の認識が必要です。
自分のライフスタイルを、振り返ってみましょう。
最近精神的に緊張した状態が続いたり、ストレスを感じることが多くありませんか?
長時間同じ姿勢で、仕事をしていたりしていませんか?
運動不足では、ありませんか?
以上の点が、緊張性頭痛の原因になりえます。
緊張性頭痛を和らげるために、肩こり体操をご紹介しています。また、キセノン治療器などで肩、首の筋肉を暖めてリラックスさせるのも効果的です。
薬物療法としては、肩、首の筋肉の緊張を取る薬や、気持ちをリラックスさせる薬を投与することが効果的である場合が多いです。痛みが強いときには、最初は痛み止めを飲んでいただくこともあります。筋肉の凝りをほぐす塗り薬や、貼り薬もあります。
また、緊張性頭痛を緩和する、漢方薬もあります。

頭痛について(2)

慢性頭痛の中で緊張型頭痛についで多い、片頭痛についてお話します。

片頭痛の痛みの特徴は、以下の点が挙げられます。

1) 発作性に頭の半分、または全体(両側)に痛みが起こる。痛みの性状はズキズキと心臓の鼓動のように拍動し、別名血管性頭痛とも呼ばれる。痛みは、ちょっとした体動でも増悪し、日常生活に支障をきたす。
2) 痛みの発作の前に、目の前にぎざぎざ・きらきらした星のようなものが見えたり、視野がかすんだりすることもある。(閃輝暗点)前兆を伴わないものもある。
3) 痛みがひどいときは、吐き気を伴ったり、実際に吐くこともある。また、痛いときの随伴症状として、光や音に過敏になったりする。
4) 眠るi睡眠に入る)と、痛みは軽快する。
5) お風呂に入ったり、お酒を飲んだりすると痛みは増悪する。(痛くて、風呂に入ろうとか、お酒を飲もうという気持ちはおこらないことが多い。)
片頭痛の原因は、頭部の動脈が拡張し、血管壁の神経を刺激するためです。動脈の拡張の前には、血管を収縮させる、セロトニンという物 質が大量に血液中に増え、動脈が収縮します。この、血管の収縮時に、視野障害、ギザギザした明るい模様が視野の中に現れたり(閃輝暗点)、体の半分がしび れたり、言葉が出にくかったりします。大量に増えた、血中セロトニンは、発作時には反対に減るために、それに反応して動脈が拡張し、血管周囲の神経を刺激 することによって、ズキズキと拍動する激しい頭痛がおこるのです。
頭痛は、家族性があるといわれています。母親に片頭痛があると娘の約70%に、そして息子の約30%に片頭痛が出るといわれています。父親に片頭痛がある場合では、発症率は母親の場合の、半分程度です。
発作の引き金になる食べ物としては、チョコレート、赤ワイン、アルコールなどがあげられますが、個人差があり、まったく引き金にならない人もいますので、そうした人は気にする必要はありません。
発作の起こる引き金は人によって異なります。
片頭痛の誘引として、以下のものが挙げられます。

・ストレス(開放されたとき)
・人ごみ、まぶしい光や騒音
・寝不足、寝すぎ
・食品(赤ワイン、チーズ、チョコレート、かんきつ類など)
・空腹
・環境の変化(気温の変化、旅行など)
・ホルモンの変化(月経の前後、妊娠など)

発作の誘引となるものは、人によって様々です。自分は、どのようなときに発作が起こりやすいのか、頭痛日記をつけることをお勧めします。

片頭痛の治療は、適切な薬を、適切なタイミングで飲むことです。
片頭痛の治療薬には、大きく分けて3種類の薬があります。
トリプタン製剤、エルゴタミン製剤、鎮痛解熱剤の3種類です。

トリプタン製剤は、一番新しい治療薬で、片頭痛の原因である血管の拡張と炎症を鎮めます。片頭痛の極期の痛みにも、効果がある場合があります。内服薬のほかに、注射薬、点鼻薬があるものもあります。
現在4種類のトリプタン製剤があり、効き方は、微妙に個人差があるようなので、自分にあった薬の選択が必要になると思います。また、薬を飲むベストのタイミングは、“痛くなり始め”です。

エルゴタミン製剤は、血管の拡張を抑制するお薬です。トリプタン製剤が出る前は、片頭痛の特効薬でした。薬を飲むタイミングは、前兆があるタイプの場合は、発作前兆時、前兆がないタイプの片頭痛には、痛みはじめです。痛くなってから飲んでも効果はないといわれています。

解熱鎮痛剤は、頭痛に限らず、痛み全般に対して鎮痛作用がありますが、片頭痛の痛みを抑えることは難しいです。

片頭痛の予防薬は、特効薬はありませんが、発作の頻度が高い場合などに、カルシウム拮抗剤などが使われることがあります。また、片頭痛を予防するといわれる、漢方薬もあります。

いずれにしても、片頭痛は痛みがかなり激しくつらい病気ですが(実は、私自身も片頭痛の持病があり、つらい思いをしました)、自分にあった薬をうまく使うことによって、痛みの軽減がはかれます。

めまいについて

 

眩暈といっても、これほど人によって感じているものが違う症状も珍しいと思います。ふらふらすることを、眩暈という人もいるでしょうし、 立ちくらみのことを眩暈という人もいるでしょう。もちろん、ぐるぐる回る回転性の眩暈を感じて、眩暈といっている人もいると思います。
眩暈がするときの状態、状況を、冷静に観察しましょう。
眩暈は、大きく分けて4つタイプに分かれます。

・回転性の眩暈
・失神型眩暈
・動揺型眩暈
・その他の眩暈
です。
回転性の眩暈は、自分や外界が動いていないのに、動いているように感じる異常感覚です。多くが、目が回る、周りがぐるぐる回るなどと、回転性である ために、回転型といわれますが、前後に倒れるような、周囲が傾くような、など非回転性のものも含まれます。耳石、半規管、迷路などの末梢あるいは中枢(脳 幹部)の前庭機構が急激に破綻することによって生じるといわれています。
失神型眩暈は、目の前が暗くなる感じ、気が遠くなる感じ、などと訴える眩暈で、失神の前兆と考えられるものです。病態としては、脳全体の一過性の虚血発作 (いわゆる脳貧血)が想定されます。循環器系の疾患が原因であることもあり、生命にかかわるものも含まれますので、注意が必要です。
動揺性の眩暈は、立ち上がったり、歩いたりした時のふらつきを自覚するバランスの障害です。体の平衡感覚に関わるさまざまな感覚系(視覚、固有感覚、前庭感覚や、運動系(小脳、錐体外路)の障害によって生じます。複数の原因が重なることもあります。
その他の眩暈は、これまで述べた3つのタイプに当てはまらない、非特異的な眩暈です。自律神経失調によるものや、背景にストレス、神経的な要因がある場合が多いと考えられています。
眩暈で、病院にかかるときは、以下の点について、医師に聴かれますので自分の症状を整理しておくと良いでしょう。

1) どんなめまいか→ふらふらか、グルグルか、目の前が真っ暗か、それ以外の違う症状か‥。
2) どんなときにその症状が起こるか→頭を動かしたときか、立ち上がったときか、暗いところを歩くときか、いきんだときか、‥。
3) めまいはどれくらい続くか→突発的におこるか、だらだら続いているか、めまいの持続時間が、秒の単位か、分の単位か、時間の単位か、日の単位か‥。
4) めまい以外の症状はないか→肩こり、頭痛、ものが二重に見える、耳の聞こえが悪い、耳鳴り がする、心臓がどきどきする‥。
今までに、かかった病気、今飲んでいる薬があれば、それも医師に伝えてください。薬によっては、眩暈の原因になっている場合があります。
また、自律神経失調が原因と考えられる場合、コーヒーなどのカフェインのとりすぎがめまいを誘発している事があります。栄養ドリンクの中にも、カフェインが含まれているものがありますので、知らず知らずのうちにカフェインを多く摂っていたなんて事もありえます。
特に、いろいろな検査をしても異常がないのにしつこいめまい感が続く場合、日常生活を見直してみましょう。
コーヒーを飲みすぎていませんか?コーヒーや、市販のドリンク剤などカフェインを多く飲みすぎると眩暈を感じやすくなることがあります。日常生活では、出来るだけゆったりとすごすように心がけましょう。深呼吸をしたり、軽いストレッチ体操をしたりすることも良いでしょう。また、しつこい眩暈を訴える方は、不安を感じやすい傾向の方が多いようです。気持ちを落ち着ける薬を飲むと、楽になることがあります。